エリーゼのために

いつか、また逢おうね

グレート・アンパンマン

f:id:worldtrotter:20180507085327p:plain

年中行事という意識はまったくなかったのだが、なぜかゴールデンウィークには必ずアンパンマンミュージアムにやってくる。

訪れるたびに、前回はいつ来たんだっけ?と話題になり、そういえば去年もゴールデンウィークだったっけかと話はいつも同じところへ。今年で3年連続である。

 

休みにどこへ行きたいかという質問に対して、この4月に小学1年生になった娘から、アンパンマンという答えが返ってくるとは予想していなかった。算術や文字の書き取り練習をしている姿からは、もうさすがに卒業だよなと思っていた。

前々回、着ぐるみのアンパンマンと握手するために歩み寄った際に、愛用の水筒がアンパンマンキャラであることを見せたくて、胸元に両手でしっかり水筒を支える娘の姿が眩しくよみがえる。あれはまだ4歳の頃か。あの時代はもう帰ってこないと、親としては少々しんみりしていたところだ。

 

しかし、尋ねて答えが返ってきた以上、その意志をむげにはできまい。よし行こう!ということで、みなとみらい線の新高島へ。

そして、はるばるやってきた正面玄関前。早い時刻に到着できたおかげか、GWなのに予想したほどの行列はできていない。しめしめと思いきや、娘の様子が少しおかしい。ん?どうした? 尋ねると、中には入らないと言う。え?なにかあったの? 今日は別のところに遊びに行きたいと言い出した。え〜!

 

どうしたものかと、しばし妻と会話。まぁ別な過ごし方のほうがよいならありだけど、どこか公園でも探すか、天気もいいし。でもこれからどこへ? などとやり取りするうちにも、やはり娘はどうやら入りたいらしいことが判明してくる。よくよく聞くと、ちょっと恥ずかしいのだそうだ。って何が? そうか確かに列に並んでいるのは小さい子ばかり。中には小学生も見当たるのだが、娘曰く、それは妹や弟がいっしょだからだそうだ。なるほどよく見ている。

いくらか問答の末、有料エリアには入らず、まずはジャムおじさんのパン屋でおやつタイムとなった。アンパンマンメロンパンナちゃんと赤ちゃんマン。ひとつ310円という菓子パンの価格に驚きながら、ついでに、赤ちゃんマンというかなり無理やりなキャラクターにはむしろ感心しながらも、娘の食欲旺盛さに心を落ちつける。

 

さてこれからどうするかだが、この時点ではすでに娘の意志は明らかだった。娘とはゆっくり対話しつつ、結論として中に入ってしっかり遊ぼうということになった。

そして一日終わってみれば、5~6時間は遊び倒して、幼稚園児のときよりもよほど楽しんでいるようにさえ見えた。

 

ふり返って考えると、親が子の成長に戸惑ったエピソードだったのだが、見方を変えると、子が自分自身の成長に戸惑ったシーンでもあったのではないかと気づく。

目の前のアンパンマンが実際に空を飛ばないことを知っていても、すべて大人が作った仕掛けだとわかっていても、それでもなおファンタジーにわくわくする自分を感じることに困惑している姿だったのかもしれない。それは、親にとって、子の新たな成長の側面を見ることであり、しみじみとする瞬間でもある。

 

さて、もう本当にこれでアンパンマンは最後なんだろうなと、口には出さずに思っていたら、帰りがけに1300円もするコキンちゃんの風船を買ってあげていた。いつもならこういうおもちゃにはお金を使わないのに…。

そして、おそらく次は、ディズニーランドか。妻に話すと「もう行きたいって言ってるわよ。でも、どうせお父さんに言っても連れてってもらえないと思ってるみたい」って。え?なんで? オレってそんなに聞く耳持たぬオヤジだったっけ?! それとも成長した娘による誘導作戦の前フリか? いや、それは娘の戦略ではなく…もしや?!